第9章 牙を抜かれた四皇
「シャ、シャンクス・・・ごめんね!わたしは無事だよ・・・!っていうか落ち着いて?」
『お前、落ち着いてられっか!!どこにいる?すぐに迎えに行く!総勢で!』
「わあああ~~!!!ダメダメ!そんな事したら目立っちゃうよ!ていうか私結構強いし、平気だよ!」
油断して刺されたくせによく言うよなァ・・・。
サボがやれやれと呟くと、電々虫がぴくりと震えた。
『おい・・・今男の声がしたぞ・・・?』
途端に怒気を含んだ声色になるシャンクス。
受話器越しでも伝わる迫力にアヤやサボを含め、周囲にいた人間はごくりと唾を飲んだ。
『しかも刺されただと・・・?どこのどいつにだ・・・』
シャンクスの過保護っぷりを良く知るアヤは慌てて話を反らした。
「あっ・・・あのね!!本当に大丈夫だから!!私がドジしてちょっと怪我しちゃった所を、偶然サボが助けてくれたの!だからほんとに無事・・・っ!めちゃくちゃ元気!」
『サボ・・・?ああ、ルフィ達と同じ幼馴染か。そいつァ確か、死んだって言ってなかったか・・・?』
シャンクスの声色が少し和らいだ。アヤはほっとして続ける。
「生きてたの・・・!私もびっくりしたよ。でもね、ほんとに生きてた。長い事記憶を無くしちゃってたみたいだけど、間違いなくサボなの。もう私、うれしくて・・・!」
話しているうちにだんだんと感極まりアヤの目元には涙が浮かんだ。
隣にいたサボはアヤの頭をがしがしと撫でる。
シャンクスはすっかり落ち着きを取り戻し、アヤに優しく声をかけた。
『そうかぁ・・・!良かったなぁアヤ・・・!』
「う″んっ・・・・!」
涙を拭うアヤの肩をサボはちょんちょんと叩いた。
手招きをして“かわってくれ”の意を示している。
・・・?
アヤがサボに受話器を渡すと、サボはすっと背筋を伸ばした。
「もしもし。革命軍のサボという者です。お話しできて光栄です。四皇のシャンクスさん。」
『おォ~~!!アヤ達がちっさい頃から話は聞いてたぜ!アヤを助けてくれてありがとうな!んなかしこまんな!』