第7章 再会
「サボ・・・?!入っていい・・・?」
部屋を何度かノックをしても返事は無い。
アヤは耐えきれなくなってドアを開けた。
薄暗い部屋の奥には、背の高い青年が背を向けて立っていた。
少しくせっ毛の、太陽のように明るい金色の髪。アヤは胸が熱くなった。
「サボ・・・?サボなんだよね?」
サボは応えない。アヤに背を向けたまま首を振った。
「・・・あわせる顔がねェ・・・俺は・・・革命軍に拾われてから10年もお前らの事忘れてた。」
アヤが目覚めた途端、サボはどうしていいかわからず医務室を飛び出してきてしまったのだ。
「何言ってるの!!そんなこと!
サボ・・・生きててくれてありがとう・・・。本当に良かった・・・!」
アヤが涙声で伝えると、サボは振り向かず震える声を振り絞った。
「やめろよ・・・!俺は、何もできなかったんだ!!
エースが死んだことがきっかけで思い出すとか、最悪だ・・・!」
「そんな事言わないで!!私だって、何もできなかったよ!私もルフィと一緒にあの場に行けてたらって、何度も後悔した!
でも・・・!私たちがいつまで悔やんだって、エースは戻って来ないんだから・・・!!」
「う・・・っ。ぐ・・・・。」
「サボ、こっち向いて・・・?」
アヤはサボの背中にそっと両手を置いた。ゆっくりとサボが振り返る。
少年の頃の面影はすっかり消え、身長も伸びてとても逞しくなったサボ。
顔に火傷の痕が残っているが、変わらず端正な顔つきをしていた。
サボの瞳からとめどなく涙が溢れる。アヤは優しくサボを抱きしめると、静かに言った。
「エースは・・・私たちを怨んだりしないよ。もし生きてたら、いつまでくよくよしてんだって、きっと笑い飛ばすと思う。」
「・・・・・・っ!」
サボは応えるようにアヤに腕を回すと、肩に顔を埋めた。
涙で顔がぐしゃぐしゃだ。こんな所は他の誰にも見られたくない筈なのに、懐かしい香りに心を許してしまう。
「サボ・・・。もう一度言うよ?生きててくれて、ありがとう。ルフィにも会ってあげて?きっと喜ぶから・・・。」
「ッ・・・!ああ・・・ッ!そうする・・・!!」
しゃくり上げながら、何度もサボは頷いた。