第5章 後悔
フーシャ村の港を、二人の青年が談笑しながら歩いていた。
「サボお前~!随分背ェ伸びたじゃねェか!ガタイも良くなってら!」
「ドラゴンさんとこで鍛えられたからな!そういうエースこそ、惜しみなく肉体美疲労してんじゃねェか・・・。」
「俺はこれでいいんだよ!なんつーか・・・服キライだ。」
「そういう理由かよ!!!」
久々の再会に思い出話を弾ませて、杯兄弟は肩を組み合い歩く。
慣れ親しんだ村の酒場はもう目の前だ。
(やめてくれ・・・。)
「つーか、お前今まで何してたんだよ!てっきり死んじまったもんと思って、俺らあの時大泣きしたんだぞ?」
「悪い・・・。記憶が無かったんだ。思い出すのに10年もかかっちまった!!」
「長ェよ!!!」
エースが大笑いしながらサボを小突く。
「でもよ、なんで突然思い出したんだ?長いこと記憶が無かったんだろ?」
「ああ・・・それはエースの・・・。」
(やめてくれ!!!)
気が付くと村の景色は失われ、目の前はインペルダウンの処刑台だった。
青ざめたサボは歩んでいた足を止め、金縛りにあったように動けなくなってしまった。
エースが血まみれでルフィにもたれかかっている。
息も絶え絶えにサボを見上げたエースが笑う。
「サボ・・・思い出してくれて、ありがとうなァ・・・!!」
憎しみの籠った声で告げる旧友に、心臓が悲鳴を上げた。