第4章 旅立ち
“一緒にエースの墓参りに行かないか?”
シャンクスの誘いを、アヤはふたつ返事で承諾した。
何やら立派なお墓をシャンクスが建ててくれたらしい。
今や四皇とまで言われるシャンクスと行動を共にするのに少し恐れ多さも感じたが、彼ほど心強く頼りになる人はいない。
現在赤髪海賊団はシャボンディ諸島まで海を下り停泊中との事で、アヤは数日待ってもらい合流する事となった。
「ちゃんと、エースにお別れしないとね・・・。」
船に揺られるアヤが胸のペンダントを握りしめると、優しい声が響いた。
《アヤ。君の力の事を忘れていないかい?》
「え・・・?」
アヴェルが優しく語りかける。
《君には、ヴァルキリーの能力が備わっている。
もし、魂がまだ現世に留まっているなら、どこかで会えるかもしれないよ?“彼”に。》
どくんとアヤの心臓が鳴った。
(エースに、会えるかもしれない・・・?)
そんな事、考えもしなかった。
思えば、アヤはアヴェルを呼ぶ事以外で悪魔の実の能力を使った事が未だ無かったのだ。
見ず知らずの魂を呼び出して従えるなど、その魂の自由を奪うようで申し訳が無かったからだ。
(でも、もしエースがどこかにいて、姿を現してくれたとしたら?
わたしと一緒に来てくれるって、言ってくれたら・・・?)
アヤは胸の高鳴りが抑えきれなかった。
アヴェルが旅に出た方が良いと勧めてくれた意味が、少しわかった気がした。