第4章 旅立ち
ジリリリリリ・・・・!!
感傷に浸る間もなく、酒場の電々虫が勢いよく鳴った。
「ちょっと、今大事な時なのに・・・。」
マキノが電々虫に目をやると、見覚えのある姿に電々虫が擬態している。
アヤがまだ暫く出発しそうに無い事を確認し、マキノは電々虫を取った。
「よォ!久しぶりだな!!」
手のひらの電々虫の向こうから聞こえてきたのは、かわいい少年少女たちの憧れの的。
「あら、お久しぶりね!お元気でした?」
「ハハハ!いつも通りさ!今日がアヤの船出の日だって、手紙をもらったからな。ちょっとかわれるか?」
男が嬉しそうにマキノに告げる。
ちょっと待ってね。と電々虫を置くと、マキノは少し声を張り上げた。
「アヤ~!!電話よ!」
「?」
村人たちに囲まれていたアヤが、首を傾げながらマキノの所にやってきた。はい、どうぞ。と電々虫を渡され、恐る恐る顔を近づける。
「もしもし・・・?」
「アヤ、久しぶりだなァ~~~!!すっかり声まで女っぽくなりやがって!」
「・・・シャンクス?!」
電々虫の向こう側にいたのは、少年達が旅立った後も、アヤをたいそう可愛がってくれた大海賊だった。