第4章 旅立ち
天気は快晴。船出の日には絶好の晴天だった。
酒場に集まった村人達に挨拶をしてまわるアヤだったが、顔を合わせる度に村人が血相を変えて詰め寄る。
「アヤ!見たわよ海辺の子船!あんなのでどこに行けるって言うの!!」
「そうじゃアヤ!港から大きい船が出とるんだからそっちに乗りゃァええんじゃ!!」
ウープさんの必死の説得を気にも止めず、私は荷物の中身を確認していた。
「大丈夫。次の島に行くまでだし。その後は適当な船に乗るよ。
なるべく、大勢の人がいる船に何度も乗りたくないんだ。何があるかわからないし・・・。」
「それは・・・そうじゃが・・・。」
う~んと唸るウープ村長だったが、ハッとしたように向き直る。
アヤににじり寄ると、スレスレまで顔を近づけてじろりと睨んだ。
「アヤ・・・?まさかとは思うが、海賊になろうなんぞ思っとらんじゃろうな・・・?!」
「え・・・海賊?・・・特に考えて無かったけど・・・うん!それもいいかも!」
衝撃を受けたようにウープ村長が飛びのいた。
アヤの選択肢に海賊は含まれていなかった様子だったが、今まさに候補に入ってしまったようだ。
いらぬ心配のせいで村長の思わしくない方向に状況を悪化させてしまったらしい。
「な・・・!な・・・!アヤ!!そんなバカな!!」
『村長ォ~~~~~!!アホォ~~~~~!!!』
村人が一斉にウープ村長に大ブーイングの嵐を浴びせる中、マキノだけは嬉しそうに笑っていた。
かすかに目元には涙が浮かんでいる。
「思い出すわね。色々と・・・。」