第1章 1
「いや…………」
「はっきり言いなさいよ」
「…………綺麗だ」
「え?」
「よく、似合っているよ」
「…………ありがとう」
てっきり貶されるものだと思っていたので拍子抜けしてしまった。そんなに真っ赤になって褒められるとさすがにこちらも照れくさい。
会場につくと早速探の挨拶回りに振り回された
「白馬さん、お久しぶりです」
「あぁ、お久しぶりです」
「どうですか、探偵のお仕事の方は」
「ぼちぼちという感じですかね」
「ほー、それで、この美しい人はどなたですか?もしや婚約者とか?」
「あ、違いますよ、僕はそうなっても構わないんですけどね」
その言葉に驚き私は探をみた。探はしてやったりという顔で私を見ている。そしてトドメをさすように私を見ながら囁いた。
「本当に美しくて愛しい人です」
こいつ……この場で断れない雰囲気を……
やられっぱなしが気に食わず私は探の相手に笑顔を向ける。
「そんなことおっしゃって本命の方に怒られてしまいますよ?」
「ほう?本命ですか」
よし!食いついた!
「えぇ、私よりも美しい方で……」
「それはそれは楽しみですなぁ、ぜひ次はお連れ下さい」
目を向けられた探は焦ったような顔をする。
「え、えぇ…………では」
探はその場から逃げるように私を会場のすみに連れ出した。
「どういうつもりだい?」
「うそじゃないでしょ?」
「は?」
「探くらいの人なら彼女くらいいるでしょ」
「あぁ、想い人はいるけどね」
「その人でいいんじゃない?」
「そうだね、だから今日その人を連れてきたんだよ」
「………………」
それって…………
「何冗談言ってんのよ、そんなんじゃ本命に振られるわよ?パーティに戻りましょ。私の挨拶周りが済んでないわ、ちゃんと付き合ってよ私の『パートナー』さん」
私の言葉に探はふっと笑って私の手をとった。
「おおせのままに、姫君」
「っ」
その言葉と表情に私は不覚にもドキッとしてしまった。
私の挨拶回りも終わり、ドリンクを飲んでいると探は女性に囲まれてしまった。
化粧室行こうかな……ここは息が詰まるし
会場を出ようと出口に向かうと1人のウエイターが私に声をかけた。