第1章 1
「これでここに残る理由もなくなるでしょ」
「なっ」
ドンッと音を立ててドアが開く。私は屋上に出てきた2人に駆け出した。
「行って!」
男は走ってきた私に銃口を向けた。
バキュン!バキュン!
私は銃弾を避けながら2人に近づいていく。そして相手の懐に入ると2人の銃を蹴りあげた。
「うっ…………」
狼狽えてる1人に蹴りを食らわせダウンさせるともう1人に目を向ける。相手がナイフを出し、私に襲いかかってきていた。
私はそのナイフごと男の腕を蹴り頭にも蹴りを入れた。2人がダウンしたところで倒れた男のナイフを拾い上げる。
「で?私の望むものって?」
私はあの手紙の言葉を口にしたが、伸びている男が答えるはずもない。
「まぁ、いっか……」
バン!
「…………っ…………」
鳴り響く銃声と腹部の痛みに後ろを向くと最初に倒した男が私に銃口を向けている。
「ゆい!」
膝からガクンと倒れそうになる私をキッドが抱きとめた。
「……………………ゆだん…しちゃった…………」
「アホ!喋るな!」
横目で男をみると二人とも完全に伸びている。キッドが倒してくれたのだろう。
「私も、捨てて行って」
あぁ、なんか視界がぼやけて……
「なっ」
「別に、惜しい命じゃない………………から」
ここで死ぬのか……
「アホか!」
「私がいたらうまく逃げられないでしょ……」
あ、意識が……
「んなこときにしてんじゃねーよ!」
「………………」
「ゆい!」
――――――――――――――――――――――
「……」
目が覚めると知らない天井があった。病院じゃなさそうだけど、あのあと警察に捕まってどっかに幽閉でもされてんのかな。
「いっ…………」
起き上がるために動くと、激痛が走る。
さすがに痛いか……
ガチャ
ドアが空いて入ってきたのは
「黒羽快斗……」
怪盗キッドだった。もちろん白い衣装も来てないし。こうして見るとただの学生だ。
「大丈夫か?」
「…………おいていかなかったんだ」
「あんな状況で置いてけるかよ、それに俺はお前一人抱えたくらいで捕まるほどやわじゃねーよ」
「……そう」
小さく微笑むと黒羽はベッドに腰掛けた。