第1章 1
「帰る」
キッドが離れたので私は出口に向かう。
「え、宝石は?」
「私の欲しいのじゃないっ」
「ちょ、まてよっ」
キッドの声を無視して私は走り出した。
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次の日
登校すると満面の笑みの黒羽快斗が私を待っていた。
「おはよう、ゆい」
びっくりするほど笑顔で挨拶をされ、少し顔がひきつる。
「……おはよう、黒羽」
「昨日なんで逃げた」
黒羽は一気に声のトーンを落とし私に聞く。
「そりゃ、用事は済んだし。」
「お前の狙ってる宝石ってもしかして……」
黒羽の言葉を聞きながら机に手を入れると異変に気づいた。なにか入ってる。私は昨日転校してきたばかり、教科書が届いたのは今日なので机になにか入ってるのはありえない。
……手紙?
机から出してみるとそれは真っ白い封筒に入ってる手紙だった。
「なんだそれ?」
不思議に思ってると、手紙に気付いた黒羽が声をかける。
「見てわかんないの?ラブレターよ」
私は席を立つと女子トイレに駆け込んだ。流石にここまではあいつも来ないだろう。
差出人不明の手紙を開くとそこには1枚のカードのようなものが入っていた。
『今夜○○ホールのビッグサファイアを盗めばそこに君の望みのものがある』
なにこれ……っていうか
「あそこのビッグサファイアって……」
キッドが予告状出てた……
「邪魔しないって言ったばっかだけど……」
しょうがない!行くか!
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キッドの予告時間より随分前に来たので、案の定盗み出すのも簡単で私は宝石を手にした。
「よし、帰ろ」
入ってきたドアから出ようとするとドンッと誰かの手に阻まれた。
「邪魔はしないんじゃなかったんですか?」
振り向くとそこには予想してた人物が立っている。
「…………」
「釈明は?」
「ない」
「いい心がけです、さぁ、お仕置きの時間ですよ、お姫様」
キッドは太ももに手を這わせるといやらしく撫で始めた。
「やっ…………ぁ………………」
この間と違って短パンの中まで手が入ってきてかなり際どい部分まで撫でられる。
まずい…………このままじゃこの間みたいに……
「は………なして………」