第8章 (6)Hot & cold
数時間後、桐嶋さんと買い物を終えた私たちはベンチで休憩をしていた。
桐嶋さんの傍には、袋にぱんぱんに詰められた沢山のキャットフードや猫の玩具などが入っていた。
「すみません、全部持ってもらっちゃって」
「こんなの俺様にかかれば軽いもんよ」
笑いながら力こぶを主張してくる桐嶋さん。
どれだけ鍛えたらああなるのだろう。腕に見事なお山ができている。
「そう言う透もありがとうな。俺こういうのわかんねーから、任せっきりになっちまった」
「いえいえ。猫用の玩具とか、普段なかなか縁のないものが見れて私も楽しかったです」
向かったペットショップはこの辺りで1番品揃えが豊富なお店。知らないグッズがいろいろあって、ついつい盛り上がってしまった。
店員さんが桐嶋さんの風貌に完全にびびっていらっしゃったのは、本当に申し訳なかったけど…。
「そうだ、付き合ってくれたお礼に何か奢ってやるよ」
「え、お礼ですか!?そんな、良いですよ!」
桐嶋さんからの突然の「お礼」という言葉。
驚きで返事の言葉がうわずってしまう。
「第一、本当にただ付き合っただけで私はそんな何も…」
「いいんだよ、俺が奢ってやるって言ってんだ。何がいい?好きなもん選んでくれよ」
「そう言われても…」
いきなりこれがいい!なんて思いつくわけもなく、私は視線を彷徨わせる。
するとすぐそこにちょうど良いものが。
「アイス!あそこのロールアイスなんてどうですか!」
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