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王子さま拾いました。〖R18〗

第3章 ♡雨の日のおくりもの


『もう一度言っておく...ごめんね。』


小声でそう呟いた彼の目に、
急に鋭く力がこもった。


「え?...あのっ......きゃああっ!!」


ぐいっと強く身体を抱き寄せられると、
いきなり耳たぶを啄まれる。


「やっ...いやっ!......いやぁ!
やめ、やめてくださ...あっ...や...!」


『ごめん......ちゅっ、ちゅ...
少しだけ...だから......ちゅ...』


必死に身を捩り抵抗するも
男の力にはかなわず、びくともしない。

ぐっと思いきり胸を押し返すと、
少し唇が耳から横に逸れ
その隙に逃げようと身体に力を込める。

すると、先ほどまでの彼からは想像もつかない、
耳を疑うような大きな声が発せられた。


『おいこら、なに見てんだよ!』


「えっ.........」


陽葵は思わずびくり、と身体を震わす。


「ご、ごめんなさ...」


(...怖い......)

一瞬にして身体がすくみ、
泣きそうになりながら震える声で小さく呟く。

すると、再び小声で
彼が囁いた。


『ちがう。君じゃない。』


「え......?」


その言葉の意味を確認するよりも前に、
さらに彼は、ドスの効いた声で言葉を続ける。


『おい、お前だよ。さっきからコソコソコソコソ。
舐めたことすんのも大概にしとけよ。
つーか......最近こいつの携帯にずっと着信鳴ってんだけど......もしかしてお前か?
言っておくが、“コッチ”の世界じゃ着信がどの携帯から鳴ってるかなんて、すぐに割れ......』


すると、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


『も、申し訳ございませんでした...っ!』


『ああ??聞こえねーよ!』


『ほ、本当に申し訳ございませんでした!!
もう二度と近づかないので見逃してください...!』


『まじで次はねーからな。
.........分かったら、さっさと消えろ。』
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