第3章 ♡雨の日のおくりもの
『ひ、ひぃい...!』
ぱしゃぱしゃと足音が遠ざかっていく。
その足音を辿ってそっと後ろを振り向くと
やはり見覚えのある後ろ姿が遠ざかっていくのが見えた。
彼に向き直ると、
陽葵はすぐに口を浅く開く。
「あ、あの......」
『本っ当にごめん!!!!!』
すると、目が合ったがすぐに
頭を思いきり下げられた。
『あの人...ずっと君のことつけて見てて...
しかも携帯電話触ってるタイミングが君の着信とリンクしてたから、話を聞いてまさかと思ったんだ。
......万が一その人とは違っても、どちらにせよ君に対してなにかしらあるのは間違いないと思って、ああいうタイプの人には、こういうのが1番効くから......』
「い、いえ...!私は平気です...!
むしろ、私を助けて頂くための演技に、
本気で嫌がったりしてしまって......
本当に、申し訳ございませんでした...。
助けて頂いて、本当にありがとうございます。」
陽葵が深々とお辞儀をしながらお礼を言うと、
彼は目を逸らし
ごにょごにょと口を動かす。
『いや、まぁその......あれは役得というかなんというかというところもあったりなかったりといいますか......』
「え?ええと...なんでしょうか...?」
『い!いや!!!なんでもないっ!
えーと.........結局、あの人が、君のその...つきまとわれてた変な人で間違いなかったのかな?』
「あ...い、ちおう...そうです...。
なので、本当に助かりました。
何度も言ってしまいますが、
本当にありがとうございます。」