第3章 ♡雨の日のおくりもの
まっすぐな瞳で見つめられる。
「あ...あの......」
『好きです。好きでした。ずっと好きでした。
今日の“これ”は賭けだったけど...
やっぱり君は来てくれた。』
「あの.........」
『もう、絶対に離したくない。』
「...!...きゃあっ!!」
いきなり手を引かれ、
彼にぎゅっと抱きしめられる。
『お願い。僕をこのまま連れ帰って。』
「......え、ええ!
な、何を言って......!」
『...お願い。......やっとこうして会えたんだ。
......君と、離れたくない...。』
「あ、あの、あのっ...きゅ、急にそんな...
そんなこと、言われても......
あ、なたは...誰なんですか?
それに、連れて帰ってって......」
『............
僕は、花 朝日(はな あさひ)といいます。
......信じてもらえないだろうけど、
僕...実は、それなりに名のある家の息子でね。
ずっと......俗に言う政略結婚を断り続けていたんだけど......今日、めでたく勘当されたんだ。』
「か、勘当......!?
そ、それって...めでたく、なんですか...?」
『そうだよ。
だってやっと自由になれた。
......だからお願い。
僕を君の家に連れて帰って。
大好きな君の為ならなんでもするよ。
どんなお願いも、我儘だって、君の為なら喜んできく。』
「な、なにを言って.........」
さすがに、大のお人好しの陽葵でも、
ここまで明らかに“やばい人”を家に連れ帰ることは躊躇われる。
かと言って、
『お願い。離れたくない。一緒にいたい......。』
こんな状態の人間を振り払い、
1人残してこの場を後にすることも
色々な意味で、心配性な陽葵には不可能だった。