第4章 ♡夢心地に恋ゴコロ
『だめ!僕のせいで陽葵さんの迷惑になるなんてこと、絶対あってはならないから...!』
「そ、そんな大げさな......」
必死に朝日がタオルでパジャマを拭くが、
やはり完全には汚れは取れない。
『んんーー...だめだ...
やっぱり漂白しないと落ちないかも...。
ごめんなさい。
すぐ洗ってくるから、
陽葵さんパジャマ脱げる?』
「え......?ぬ、脱ぐの...?
だ、大丈夫だよ...!」
一応下に肌着は着てはいるが、
さすがに脱ぐのは...と陽葵は焦って身を引く。
『だめ!ほら、ばんざーい!』
「え、で、でも...」
『だって、染みになっちゃったら
僕も悲しいもん...!
せっかくそのパジャマ似合ってるのに...。
ほら、急いで洗ってくるから、
陽葵さんばんざいして』
「う......は、はい...」
『ありがとう!』
陽葵が朝日の圧力に押され手を挙げると
一瞬にしてパジャマが彼の手にわたる。
『絶対落とすから、
陽葵さんは安心してご飯たべてて!』
恥ずかしい、と思ったのも束の間、
朝日は何事でもないかのようにそう言って
ふり向きもせず洗面所に向かって行った。
(.........な、なんだか...
私だけ意識しててさらに恥ずかしい...。)
思えば、好きだの、結婚したいだのと
四六時中言いながらも、
全く手を出してくる気配はない。
仮にも男女が2人屋根の下で過ごし、
しかも寝る時も傍にいるというのに
驚くほどに何も無いのだ。
(いや...もちろん、あったら困るんだけど...。
でも............
...やっぱり、私って、本当に魅力ないんだな...。)
そう思った瞬間、
過去に出会った男達に言われた
心のない言葉の数々が頭によぎり、
陽葵は思わずぎゅっと瞳を瞑る。
(あぁ......嫌だな...。
こんなの...思い出したくないのに...。)