第3章 ♡雨の日のおくりもの
『いえ、貴方のお役に立てたならなりよりです...!』
陽葵が頭をあげると、
花のように笑う彼の姿が目に入った。
「...っ......」
その笑顔がまたとてつもなく綺麗で
ついつい見入ってしまう。
すると、彼は陽葵の手をとり、
今度は柔らかく微笑んだ。
『........ねぇ、僕は誰からも君を守るよ。』
「え...?」
『今回だけじゃない。
君が不安に思う全てのものから
僕が君を守ってあげる。
......君を守れるなら、一緒にいられるなら、
最初はただのボディーガードでもなんでもいい。』
真剣な瞳が陽葵を見上げる。
『...お願い。僕を連れて帰って。』
「...っ......」
主にこの男悪運のせいで心配事の多い陽葵にとって、家にボディーガードとして男がいてくれるというのは、正直有難すぎる。
だが、それは、この男が危なくないことが大前提での話になる。
困った陽葵は、少し迷ったように口を開く。
「......どうして、私にそんなことを言ってくださるんですか...?」
『え?』
「そ、その...私と、け、っこん...したい、というのは......なぜ、なんでしょうか...?
私達、今日初めてお会いしたのに......」
『ああ...。そういうことか...』
彼は、少し寂しそうに笑うと
握っている陽葵の手に、
さらにぎゅっと力を込める。
『君は覚えていないのかもしれないけど、
実は僕、1度だけ君に会ったことがあるんだ。
.........その時、やっぱり君は今と変わらず
優しくて可愛くて......君のことが好きになった。』
「え......?
私たち、お会いしたことが...?」
『......うん。といっても、覚えていないのも全然無理のない、本当に少しだけ...なんだけどね。
それで、それからずっと、君のことが好きだった。だからずーっと、親の言う結婚相手も断り続けてた。
僕は、君と、君だけと、結婚したかったから。』