第3章 距離
「てっちゃんのお家いく。」
てっちゃんが、タクシーをつかまえて乗り込む。
タクシーでお家に向かっている間、ずっと手を握ってたてっちゃん。本当に今日はどうしたんだろう。。。。
なんとなく恥ずかしくて窓の外を見る。
私がさっきまで居た公園だ。
そこを通りすぎる時に、隆二の姿がそこに見えた。
お互い、目が一瞬合った。
「名無し!」
すぐに、着信がきた。
「…。」どうしても出れない。
「隆二から?」
「うん。。。。出たくなくて。思い出したくない。」
「…。俺が出ようか?あいつも心配してると思うぞ。」
「…。大丈夫。自分で言う。」てっちゃんをこれ以上巻き込んじゃだめだ。意を決して電話に出る。
「はい。」
「…。名無し。お前、誰とタクシー乗ってんの。」声が怖い。
「関係ないでしょ。私、今日は帰らないから。しばらく実家に戻る。」
「てつやさんだろ。一緒にいんの。」
「うん。そうだよ。」
「……。そっか。わかった。じゃあな。」
「え…?」電話を切られた。わけわかんない。何がわかったのよ。
「大丈夫か?」
「…。うん。わかったって言われて切られた。本当、何考えてるのかわかんない。」
「俺はなんとなくわかる。隆二の気持ち。」
「え?」
「お前に言えないんじゃない。傷つけたのは自分だから言えないんだよ。行くなよとも言えない。自分よりあいつと居た方が幸せになれるんじゃないかって思うんだよ。」てっちゃんの顔が悲しそうだった。