第3章 距離
「今は話したくない。」
「あいつとは、何にもないから。信じて。」
「…。隆って呼ばれてたんだ。。
「え。。?」
「彼女、私のこと知ってる?」
「…。」
「答えて。」
「言ってない。お前のことは。俺の都合で別れたから。聞かれるまでは言わないつもりだった。」
胸がズキズキした。
なんとなく、わかってた。地元の友達も私の存在を知らないから2人に気を使って2人きりにしたのだ。
「…。最低。」
「だな。。ごめんな。でも、これ以上あいつの事傷つけたくないんだ。あいつは、何にも悪くねえから。」
「私の事は、傷つけてもいいの?いま、隆のそばにいるのは私だよ。」
「…。ここ開けて。」
「やだ。」
「…。」急にシーンとしたと思ったら。
ーーードッカ!!ーーーーーー
「!!きゃあ、ちょ、うそ…。」
鍵をかけた扉を強引に蹴破ってきた。どんだけ
バカ力なの。。。。
「来ないで。顔みたくない。」
逃げようとしたけど、すぐに抱きしめられた。
「ちょっ。離してよ!」
強く抱きしめられて振りほどけない。
「ちゃんと聞けって。」
「いっつもそう。隆二は、私に彼女を重ねてるんだよ。」大粒の涙が止まらない。
「…。」戸惑ったように目を伏せる隆二。
「最低。否定もしないなんて…。」絶対に嘘がつけない隆二。そこも好きだけど、すごく残酷になってしまうこともある。まさに今がそう。私は、隆二の腕を振りほどいて外に飛び出した。
「はぁっ。はぁっ。」どれだけ走ったんだろう。近くにあった公園のベンチに座る。
その時、隆二から着信がきた。
もちろん出る気はなかった。
深く息を吸って夜空を見上げた。息が白い。
「さっむ。」
部屋着で外に飛び出してしまった私は、外の寒さに震えた。
そんな時に、また着信がきた。