第1章 日常
ご飯も用意できて自分の支度に取り掛かる。
しばらくすると浴室から隆二が出てきた。
「おー。メシメシ。」どかっとテーブルに座る彼。
「今、メイクしてるから自分でごはんとかよそって~。」
「んー。」スマフォをいじりながら完全に聞き流している。
「もー。忙しいのにー。メイクする時間なくなるでしょー。」ブツブツ言いながらご飯とお味噌汁をよそって渡す。
「サンキュー。いただきまーす。」隆二がご飯を食べる姿をじーーと見てると顔がゆるむ。
「…。何、またじーっと見て。時間ねえんだろー。」
「車の中でメイクするからいいー。いいから食べて。」
私は、こうして彼の食事姿を見る事がすきなのだ。
「あっそー。」
ごはんも済んで、家を出る。
「あ、忘れ物。先行ってて。」
「いいよ。何?とってきてやんから。お前その靴履くの時間かかるじゃん。」
「ごめんー。メイクのポーチ。リビングにあるから。」
「…。却下。はい。行くぞー。今ので十分。それ以上おめかしして行く事ねーだろ。」
「いいから、持ってきて。お願い!」
「ちえっ。」なんだかんだ言って優しい隆二。サンダルを脱ぐとポーチを持ってきてくれた。
駐車場に向かって車に乗り込む。
朝が早くない時は、いつもこうして隣の駅まで車で送ってくれる彼。そこから乗ると乗り換えなくて良いのもあるし、何より忙しくてなかなか二人の時間がない私達の貴重な時間だ。
お互いの日常の話をこの時間でする。30分程の大切な時間。