第14章 ジャンヌダルク3(及川徹)
彼女の私服自体は何度か見たことがあったが、違和感なく着ていたように思う。
そのあまりにも低すぎる背や、身体をきちんと把握された綺麗な服をまとっていた、と最近のデートの記憶を辿る。
帰り道に見た彼女の姿は、本気で落ち込んでいた。
「服、いつもどうしてるの?」
ついつい気になって聞いてしまったが、どうやらの地雷だったらしく、思いっきり睨まれた。
「私だって、胸元の見える大人びたワンピースとか、スリットの入ったタイトスカートとか、着たいですよ…!!」
彼女の願望に困惑する。
適当に相槌を打って流そうとすると、また睨まれる。
「先輩だって、そういう女性の方がいいですよね!?
魅力的ですよね!?
なんで、なんで私だけこんな…!」
「…」
悲壮感に満ち溢れていた彼女をそっと宥める。
サラサラの髪をやんわりと撫でると、はっとしたように見上げてくる。
「は、そのままでいいんだ。
俺は別に、見た目で惚れた訳じゃない」
大きな瞳から、ほろほろと粒が溢れてくる。
「ごめんなさい……、先輩のこと、疑ってました …。
ただのバカで頭おかしい女好きだと思ってました、ロリコンに目覚めたようでしたし…」
「おう、めっちゃ今悪く言われたな」
待てよ、とふと閃く。
最近、効果が低いと思ったのか、に長らく触れていない。
ご無沙汰の情事にありつけるんじゃないかと本能が訴えかけてくる。
……いける。
「ちゃん、最近、サボってるよね?」
「……ぐ…」
「どうしてかなあ?
お兄さん思うに、それさえしてればちゃんと今頃は、文化祭に間に合っていい身体になったと思うんだけどなぁ…」
は眉間にシワを寄せて睨み付けてくる。
近くのそういうホテルに誘うと、気分は赤ずきんを捕まえた狼だ。