第14章 ジャンヌダルク3(及川徹)
彼女が連れてきたのは、ビル全体が雑貨屋になっているところだった。
あらゆる下らない物を置いているそこは、化粧品から日用消耗品、そして夜の遊びに使うものまで色々置いてある。
文化祭シーズンともなると、コスプレコーナーなんていうものも出来る。
「さあ、好きなものを選んでください」
「は?」
「そんなに言うなら1着、着て差し上げます。
それなら文句ないでしょう?」
「ねえ、さんの気高いプライドは?」
「クラスの文化祭執行委員として、先輩ごときに邪魔をされてしまうのは非常に癪です。
さっさとこの1件を片付けて、平和で楽しい文化祭にしましょう。
お互いのために」
最後が怖い。
割りと本気で怒っているやつだ。
しかしここでのそういう姿が見られるのならばと潔くコーナーを片っ端から漁る。
色々取り揃えられているが、彼女の容姿に合うものがなかなか浮かばない。
というか、Sサイズですら布が余る気がするが、気のせいだろうか??
「さん、私服のサイズは…?」
「………」
「え?」
「え、Sなら!辛うじて!着ることが出来ると私は思うのですが!!」
「思うってことは着たことないね!!?」
「……ないです…」
俺達は、そのまま何も買うことなく店を出た。