第14章 ジャンヌダルク3(及川徹)
「絶対ダメだ!!!」
俺が珍しく大声を上げた相手は、幼女…ではなく、ちびで童顔でつるぺたの彼女に対してた。
しかしこの話し合いをするのに、カフェという選択肢は間違っていたかもしれない。
明らかに、『幼女にキレている性格の悪い男』という図である。
「仕方ないじゃないですか」
「仕方なくない!!
そういうコスプレは、俺の前でしかしちゃいけないの!!!」
『幼女にコスプレ強要するキモい男』の完成である。
「そういう先輩のクラスは何をやるんですか?」
「ロミオとジュリエット」
「先輩の役柄は?」
「ロミオ」
「では私は、先輩が他の女子生徒に愛を囁くシーンを見なくてはならないということですか?」
「関係ないだろ?」
「あります!ありますよ!」
はムッとした顔をますますムッとさせて睨んでくる。
「そもそも、文化祭の出し物なんて、多数決でしか決まらないのです。
ましてや、私に出来るものなんて数が限られます」
「でもっ、でも!!」
「どうしてそこまでお怒りになるのかわかりません」
「だって、一番に俺が見たいんだもん!!」
カフェがしーんと静まり返った。
『幼女のコスプレを一番に見たい変態』に俺はなった。