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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第12章 ラムネ瓶にのぼる月5(月島蛍)


どうしたら彼女が僕に時間を別けてくれるか真剣に考えたが、これしかなかった。
「、たまには僕の手伝いもしてくれる?」
「勿論!」
彼女は楽しそうに答えた。
弾む声に照れが出てしまい、少し戸惑った。
せっかくそういう関係になったのに、は物凄く臆病で、なかなか進展出来なかった。
僕も怖がらせないようにと凄く気を遣ってしまって、何もない状態だ。

部屋に呼んで他愛もない話をしながら、時折彼女に意地悪を言う。
そんな、いつも通りの風景だった。
それでも、進展したい僕としては、少し嫌な気持ちにさせてしまう罪悪感も若干あった。
「蛍ちゃん、それで、頼みたいことって?」
「ああ、が最近忙しそうだったから。
こう言えばうちで休んでくれるかなって」
自分らしくもなく素でそんなことを言ってしまう。
ふっと笑うと、は大きな目を見開いて、長い睫毛で2回瞬きをする。
そして、照れたように顔を赤くした。
「私も……蛍ちゃんと、ゆっくりしたかったの…。
でも、恥ずかしくてね、ごめんね?」
すっかり謝り癖がついてしまったは、首を傾げながらまた一つ謝罪を口にした。
僕は、そんな爽やかな気持ちで見ていない。
ドロリとした、穢い欲望の眼差しで彼女を見ている。
「でも、せっかくだから…お願いしようかな」
「うん!なんでも言って!
お掃除する?それとも、ご飯作ろうか?
蛍ちゃん、何好きだっけ?」
「うん、それもいいんだけど」
僕はの手を握った。
「最後までシて?」
察したのか、顔を赤くしては頷いた。
柔らかく、こちらを見て、視線を落とした。
「あの……初めて、なんだ……いい?」
しどろもどろ聞いてくるところが、くすぐったく思うくらいに可愛いと思った。
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