第6章 白昼夢幻想曲3(烏養繋心)
海岸の小さな小屋。
夏なら賑わっているそこも、今は閑散としている。
それでも、誰が見ているかもわからない。
そんなところで激しい深いキス。
「はぁっ、ぁ……」
合間に熱い吐息が漏れる。
冷えきった身体を温められるかのように、全身を密着させて、溶け合うかのようなソレ。
嬉しいけれど、それが嘘かもしれないと思うと、引き裂かれそうで。
「あっ、はぁ…」
もう触れてない場所なんて、ないくらいに撫でられて、いつもより真ん中が熱を流していく。
最奥ががりっと抉られ、悲鳴にも似た甘い声が意図せず出てしまう。
さっきまで海に飛び込みかけていたのに、私はもう夢中で生にしがみついていた。
その行為そのものが、私の一部ですらある。
彼の欲が私の身体にかけられる。
それすらも、まるで独占出来たようで、ぞくぞくとしながらも満たされる。
「なんで、お前はいつも……」
「だっ、ぁ…だって、私、会えなくなったら、耐えられない…!
もう、好きなのは、私だけでいいからっ…!
お願い……側にいられないなら、もう、死なせて……」
「俺は、そんなにお前に興味ないように見えるのか?」
「…うん…」
頷くと、彼は、こんなに呆れたため息を人に対して出来るのかと驚くくらいのそれを吐いた。
「…え?」
「いや、確かにわかりにくいとか、よく言われるけど…、そーじゃなくて…」
彼は、また一息し、どさっと音を立てながら私の横に座った。
すきま風が濡れた身体を凍えさせるようだ。
冬が近いのがわかる、乾いたにおいがする。
「最初も、こんなだったな」
「…うん」