第1章 王子と気まぐれ姫(菅原孝支)

そのままぬるっと舌を差し込まれて、熱い口内をゆっくり楽しまれた。
(う、わ……)
血流が一気に周り、頭がぼんやりしてきた。
誘い込まれると、さっきしてくれたのを真似するようにゆっくりと絡めとる。
そのままさんのを吸い上げれば、
「んっ」
と甘美な声が漏れる。
自分がしたことに反応してくれるのが嬉しくて、角度を変えて深く咥えると、もっと奥まで侵入させていく。
奥歯の裏側を執拗に這うと、可愛らしい顔が歪んだ。
その顔を見ていると、脊髄を虫が通るようにむずむずとした感覚が集まっていった。
(やっば…、ハマるな…)
手探りで手を取り、指を絡ませる。
自分の与える刺激で歪む顔が見たくて、そっと唇を離す。
「ど、したの？」
不安そうに見上げてくる赤い顔が情欲を煽る。
本能の赴くままに、白い首筋に甘く噛みつくと、
「はぁ…っ」
とため息混じりの声が上がる。
舌先を尖らせ、上下に刺激すれば、その感嘆の悲鳴は続け様に空気を震わせた。
「あっ…あぁっ…」
この声を、一体何人の男が聞いてきたのだろうか。
そう思うと、ふつふつと沸騰するように怒りが込み上げる。