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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第5章 姫君の憂鬱(菅原孝支)


「もっと、我が儘言って。
ダメっていう時は、ちゃんと、叱ってあげるから」
急に男の人になった気がした。
いつもの、中性的な感じがない。
ぞくぞくとしながら、私の、初めて好きになった男性を感じる。
しなやかで、強くて、どこか流麗で。
そのせいかもしれないけど、息も出来ないような気持ちよさは初めてだった。
「あっ、あぅっ…ん!」
きっと痛かったと思う。
背中に傷をつけてしまった、と思う。
無意識なくらいに快楽は流れた。
「はぁ………ぁ…」
ぽたぽたと垂れてくる彼の汗すら好き。
私の汗ばんだ額につく髪を梳く手が好き。
月明かりに浮かぶその姿は、本当に王子様みたいだった。

「気になるなら帰ってみたらいいんじゃない?」
「え?」
「家、別に、さんが帰っちゃダメってゆうわけではないんでしょ?」
「……そっか」
まるで、思いもしなかった。
いつでも帰っていい、と菅原くんが言うと、少しだけ安心できた。
「でも、怖いから……一緒に来てくれる?」
「来てくれる?なんて聞き方でいいの?」
「…道案内くらいは、してあげる…」
菅原くんはいつもの優しい笑顔で、呆れた返事をしてくれた。
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