第4章 白昼夢幻想曲2(烏養繋心)
「こんだけで、イイのか?」
無意識に力を入れてしまったらしく、耳元で笑われる。
「だって…っ、こんな…」
こんな、本当に愛されているかのようで、勘違いしそうになる。
弄ばれているだけなのに。
いつかは、捨てられるのに。
今突き放されることを考えても、死ぬことしか想像が出来ない。
「いまだけ、勘違いしても…、いいですか……?」
「好きにしろ…」
自分がどんどんと欲深くなる。
それが嫌でたまらない。
引き返せなくなるのは自分のせいでしかないのに。
言葉にしてしまった時点で、どのくらい手遅れだろうか……。
回された腕に私の手を重ねる。
「お前の手から出る音は、綺麗だ。
素人の意見だがな」
「…でも、私は…両親の望んだ天才になれなかったんです」
「人より努力出来るのも、才能だと俺は思う」
目を伏せて、その言葉をゆっくり胸に浸透させる。
好きな人に認めて貰えるって、いいなあ…て、他人事のように考えている。