• テキストサイズ

【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第4章 白昼夢幻想曲2(烏養繋心)


「ちゃんと無心にやってんじゃねえか」
「……はい…、あ、今日は、たまたま…」
「なんでもいい、やれれば。
好きってことだろ?」
鍵を閉め、彼が後ろを向いたところで息を吐いた。
熱い。
(言っても、こんなに好きなんだ…)
言葉だけでは追い付かない。
本や映画で教えてもらったものより、あまりにも深すぎる感情は、私の頭だけでは処理がしきれない。
コップから溢れる水のようにも思えた。
「送ってやるよ」
お決まりの台詞を言ってくる。
「……か、帰りたくないです…!」
彼はその返事を待っていたように口角を上げる。
「給料日前なんだ。
朝まで誰もいねーし、うちでいいか?」
「……はい」
ゆっくり、頷いた。

相変わらずの優しい手付きに自惚れそうになる。
夢の中みたいに私も名前が言えたらいいのに。
一度呼んでしまうと、きっと後戻り出来なくなる。
「あっ、あぅ……っ」
なんとなく、彼が生活している部屋というだけで、声が出しにくい。
恥ずかしい。
いつも何しているんだろう。
そんな生活空間に足を踏み入れて、こんな淫らなことをして、それが残っていくというのが、耐え難い。
でも、後ろから揺さぶられるのは、相変わらず抑えようのない快楽で、はあはあと涎を流しながら受け入れてしまう。
「あ、あぁ…っ、い…っ!」
枕に顔を埋めると、前後で抱き締められているようで、このまま消えてしまえるならなんと幸せなんだろうと思った。
そのせいで、簡単に果ててしまう。
爪先を丸めて、身体が動かないように歯を食い縛る。
「我慢、すんなよ」
弱いところを抉りながら言われると、そうしたくなる。
まだ羞恥心のがどうしても大きくて、シーツをきゅっと握る。
「やぁあっ、み、みないで、おねがいっ…!」
お腹の奥がきゅっと痺れて、目の前がチカチカと眩しい。
息を整えていると、後ろから優しく抱き締めてくれる。
/ 238ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp