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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第23章 蜂蜜レモネード6(影山vs及川)




「徹、さん……」
何も言わずに手を繋がれ、訳もわからず連れていかれる。
「な、なに?」
無言のまま、目隠しされて、何かに乗せられた。
「く、車?タクシー…?
どこ行くの……?」
尚も返事はなく、そのままエンジンが動く音だけがした。
恐らく後部座席。
何を考えているのかわからないまま、目隠しを取ろうと手を伸ばそうとした。
でも、知らない間に手を拘束されている。
後ろ手から動かせないまま、どうにも出来ない状況に混乱してくる。
何分経ったかすらわからないのに、降ろされ、そして、冷たい何かに手足を縛られていく。
音の感じからして、学校の、机、だろうか?

「徹さん…!!!は、離して…!!!」
嫌な予感しかしない。
四つん這いで、それぞれの机の足に、私の四肢が縛られている。
まるで、今から…。
「だめっ!!お願い!!もう逃げないからっ、…っ、お願い……!」
暗闇の中、孤独にされたような恐怖。
後ろにいるのは、誰なのか。
もうそんな恐怖心しかない。
ソレがこんなに怖いなんて、思ったこともなかった。
小さい頃から、当たり前に、私の役割だったから。
もしかしたら、最初は怖かったかもしれない。
相手をしたあとに、部屋で泣き崩れていたかもしれない。
でも、あまり思い出せない。
それでも、今のほうが、怖い。
「お願い……せめて、声を……聞かせて……」
そんな懇願も虚しく、私はこの暗闇と静寂に沈んでいく。
あまりに怖いと泣くことすら出来ない。
そんなこと、初めて知った。
なんの躊躇もなく、ひんやりとした物が首もとにくる。
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