第19章 蜂蜜レモネード3(影山vs及川)
「かげやまくん…あの時、最後、出来なかったね……」
「……」
「して?」
綺麗な唇からそんな言葉を聞くのがツラい。
なんで、こんなことになったのか。
「ん、ん、あ、あっ」
熟しきったさんに宛がうと、それだけで気持ち良さそうな声が上がる。
「はや、はやくぅ……」
脚を腰に絡められ、沈ませると甘美な旋律が響く。
「ぁぁあああ……」
甘い肉体の凹凸は確かに快感だ、それは確かに3年前に経験したさんの身体で、確かに自分の恋がある意味で叶った瞬間だった。
それなのに、どうにも言えない涙が止まらなくて、さんの綺麗な顔は歪んで見える。
「あっ、いやぁっ!ああっ!かげやまくんっ!あっ!や、ん、んんっ!」
「さん……っ!」
名前を呼びあいながら、優しく涙を拭ってくれる手を包む。
「、さんっ……」
もう助ける道が塞がられたのを知って、ただひたすら、与えられる感情に流される。
抑えきれずにドクドクと吐き出される白濁を、真っ白な腹に掛けると、さんはぐったりとした。
「そろそろ帰ろう。
岩ちゃんに怒られるから」
さんの衣服を整えようとすると、及川さんに冷たくあしらわれる。
「触るな」
迷いない憎悪の感情。
及川さんにとっても、さんは大切なヒトで、不器用ゆえの愛し方なのは、薄々気付いてはいたが…。