第19章 蜂蜜レモネード3(影山vs及川)
身を清めてやり、優しく準備を終えるのをひたすらに待った。
「…ん」
「今日も1日、よくがんばったね」
「……」
そういう時だけ、甘く優しく接する。
二人だけのその空間は、まるで、聖域だった。
とてもではないが、足を踏み入れることすら禁止されているように思う。
校門で別れる時、どうしても、言いたかった。
「さん、俺、諦めませんから」
及川さんには睨まれたが、これが正直な、最大限な気持ちだった。
「……」
さんは、肯定も否定もせず、じっと目を見てくる。
睫毛が縁取った目が、綺麗だ。
「またね、影山くん…」
「……す」
さんは、さよならではなく、確かに、また、と言った。
心底救われる気がする。
まだ、チャンスはある。