第18章 蜂蜜レモネード2(影山飛雄)
さんの手がびくりと震える。
「もし、さんが、ひどい目に遭うなら、俺が引きます。
という、大義名分で、どうっすか?」
「だめっ!!」
「はあ?」
「だって、一番酷いことしてるの…私だもん…っ!
影山くんが引くとか、絶対、だめ!」
「さっきと言ってることちが…」
「だって……酷いことして、脅して…、逃げて……。
私、ほんと、最低…っ!!」
その華奢な身体で、どこまで背負っていたのだろうか。
さんは、ぽろぽろと涙を流して、嗚咽をあげて泣きじゃくった。
成すすべもなく、俺は、その綺麗な人を下から見上げるしか出来なかった。
「さんは、脅してなんていないっス。
及川さんが問題」
「…でも…っ」
「俺、さんのこと、諦めませんから」
「…っ」
決断としては、一つ。
部の上級生たちが集まる裏会議。
そんなのがあるのは、前から知ってる。
「及川さん、さんに言われた条件を飲みます」
「トビオちゃん、やらしーことに敗けたの?
恥さらしだなぁー」
「代わりに、さんを下さい」
「は?バカなの?ダメに決まってんじゃん。
この前の映像流されたいわけ?」
「じゃあ、辞めます。
卑怯なことして勝ってた部活なら、もういる意味ねえっす」
案の定、室内は騒ぎだす。
「影山が辞めるのは…」
「退部これ以上増やすとさすがに顧問が…」
「わかった…、俺の条件は全部引く。
はあげない」
「…さんを、解放してあげてください…」
及川さんは、ふっと笑った。