第18章 蜂蜜レモネード2(影山飛雄)
「何、アイツ被害者面してんの?」
「…?」
「アイツがなんでも言うこと聞くって言ったんだ。
なのに、被害者ぶって…、騙されてるんだよ、トビオちゃん」
「……」
「は、男に媚びて生きていくしか出来ないんだ。
だから、仕事をさせてやってんの」
及川さんは、暗い笑い顔をして、平然とそんなことを言う。
「好きな子のことぐらい、自分から知る努力したら?」
及川さんには、そう言われたが、さんの部内での取引は一旦これで終わった。
残念ながら、その後の関わりはほとんどない。
彼女がどんな人で、どんなことをまだしているのかは、知りたくもなかった。
ただ、日に日に、一足先に大人に近づいていく彼女の色っぽさが増していくのだけは、なんとなくわかる。