第17章 常闇の彼方に堕ちていく(黒尾鉄郎)
せっかくのデザートもほとんど味がわからない。
ただ、お店を出てから、ホテルまでの道程が怖いほど遠く感じる。
もう、このままだと、路地裏でシてと懇願してしまいそうなほどだった。
「せんぱぁぁいっ、も、はやくっ…!!」
「せっかちだな」
「だめ、もう…っ!!」
ベッドに寝転び、先輩が服を脱がしてくれるのすらもどかしい。
「ゃぁあ、はやくっ、はやくぅ……」
それでも先輩は、優しく、キスから始めてくれる。
柔らかい舌を絡ませられて、いつもより濃厚でゆっくり丁寧なキス。
「ふぁぁ、あぁ…」
もどかしいけど、気持ちよくて、頭が蕩けていく。
本当に愛されているみたいで、嬉し涙が浮かんで溢れる。
「そんなにイイか?」
肌をやわやわと触られながら聞かれる。
「ふぁ、あん、ん、いい、いいっ…!」
漸くローターを取り除かれ、こぽりと溜まった熱が滴り落ちる。
太腿が濡れるのがわかって、恥ずかしくて、手で顔を隠した。
皮膚に、首から順に、ちりっとした痛みが走る。
鎖骨に来て漸く痕を付けられているのを知って、切なく胸がきゅんとなる。
早く、この切ないのを埋めて欲しい。
「せんぱいぃ…、も、いれて……」
泣きながら懇願すると、先輩はその猫目を細めて笑う。
ぐっと腰を進められ、ナカにずっと欲しかったカタチ。
「ああっ、はぁ…!」
背中に手を回され、優しく、ゆっくりと動いてくれた。
「あ、あぁっ、はん…っ、ぁ…」
ぐちゃ、ぐちゃ、と動きに合わせて、粘着性のある水音がする。
自分のモノがこんなに溢れていると思うと、恥ずかしいのに、止まらなくて。
ナカを襲う圧迫感が、またどんどんとそれを産み出していく。
抜かれる度に水飛沫を出す自分が憎い。