第2章 白昼夢幻想曲(烏養繋心)
「家は?送ってやるよ」
「帰りたくない…」
「まー思春期のお嬢ちゃんらしい言葉で」
「そのへんで下ろしてください」
「…もう捨てるつもりでいたんなら、貰ってやるよ、一晩」
「……」
「お前は家から1日解放される、俺は溜まった鬱憤が晴らせる、ホテル代と食い物は出してやる。
利害の一致ってやつだ。どうだ?」
「大人って、穢い」
「じゃあ帰るか?」
「……乗ります…」
不信感しかなかった。
それでも、1日、帰らなくていいなら、すがってしまった。
初めてだった行為は、凄く怖かった。
ましてや、知らない人。
もっと、映画やドラマみたいに乱暴されて、捨てられるかと思った。
そうじゃなくて、他の人とは比べることは出来ないけれど、およそ慈しむような手つきや、優しいキスや、たまに言ってくる冗談とか、全部に惹かれていて。
私は今日、仕掛けられたかのように、この人に恋したんじゃないかとすら思ってしまった。
最後はあまりにも嬉しくて幸せで、初めてなのに、痛みすらなくて、お腹の奥から全身に走る熱を知ってしまった。
「もうあんなこと、すんなよ」
「……また、会ってくれるなら…考えます」
「またオッサンと遊んでくれんのか?」
ちょっと悪い顔で笑って、しょーがないな、と言ってくれた。