第15章 白昼夢幻想曲4(烏養繋心)
「じゃ、自宅謹慎者は大人しく帰るとするか?」
「………やだ…」
帰り際、まだ早い時間なのに。
細いのに逞しい腰に腕を回して離さないようにする。
「我が儘言うなって」
「………」
ただでさえ滅多に会えないのに、鼻がツンと痛くなって泣きそうになる。
毎日でも会って、触れ合って、壊れるくらい愛して欲しいのに。
「もう悪い子なら、問題ないでしょ?」
「そうくるか…」
肺にいっぱい匂いが入ってくる。
いつもの好きすぎてどうにかなりそうという気持ちが泉のように沸いてくる。
「しょーがねーな…」
手を繋いで誘われるのは、逢魔時の魔物の胃袋。
もう引き返せないところまできた私は、母の望む私には戻れそうになかった。