• テキストサイズ

【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第15章 白昼夢幻想曲4(烏養繋心)


「考えてみたら、絶対音感あるお前に聞かれる方が恥ずかしいな?」
パネルを弄りつつもそう言う。
既に何曲か入れられ、私は横で飲み物をすすっていた。
「私の音感は大したことないですよ…。
主旋律と一部の伴奏しか聞き取れませんから…」
「充分だっつーの!」
曲が流れ始める。
何気に最新のヒットソングだった。
もっと、古いの歌うと思ってた。
煙草で掠れた声が、凄く色気があって、ますます好きになる。
歌詞がまた切なくていい。
録音して持って帰りたいくらいだ。
毎日でも聴いてしまうだろう。
心地よく聴いていたのに、すぐに自分の番が回ってくる。
拙い歌を聴かせるようで、恥ずかしくていつもより歌えなかった。
「やっぱ基礎が出来てると違うな…」
と褒めて貰えたけど、今すぐにでもトイレに隠れたくなった…。
「わぁ!!もう止めますーっ!」
「なんで!」
「無理!人に褒められるのとか、苦手……」
散々貶され怒鳴られてきたせいか、今更横で言われても恥ずかしいだけだ。
「褒めるのうちにすら入らねえよ」
「聞いていたいです、ダメですか?」
「……」
また恥ずかしそうにすると、タッチパネルを操作して何曲か入れてくれた。
じっと、聞き入ってしまう。
こういうデートもたまにはいいなあ、なんて、思いながら。
私の知らない曲もいくつか入っていて、しっとりとした時間を過ごした。
/ 238ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp