第1章 可愛い君へ【太宰治】
クスリ漬けで、敬愛する芥川先生が自殺したって知って自殺未遂ばっかりしていた。
女には変わらずモテたけれど『かっこいい』とは言い難い生活だった。
そんなグダグダな前世から転生して。
お前に恋して、お前は相変わらずダメな俺を好きになってくれた。
だから今世では最初に好きになった女を、前の織田作みたいにずっと愛して
「かっこよく守り切りたい、って思ってた」
彼は一度言葉を切ると、私を今度は身体ごとぎゅっと抱きしめた。
私の左耳のところに丁度、彼の左胸があたる。
とくん、とくんと鼓動が心地よい。
ああ、彼は今間違いなく生きているんだ。
「そのはずだったのにお前にもかわいいって言われちゃって」
「お前も…クッソムカつくけれど志賀みたいなやつの方が本当はタイプなんじゃないのかとか、すげー恐くなった」
優しくできなくて、かっこ悪くて、ごめん。
こぼされた言葉に私はぐりぐりと首を振る。
こんなにも自分を見つめて変わろうと思って、私を愛そうとしてくれて。
そんなの、かっこよくないはずがない。
私は顔を上げて彼を見つめる。
ああ、なんて泣きそうな顔をしているの。
泣かないで欲しい、彼の魅力は笑顔の時に一番輝くのだから。
「自分を見つめて変わろうと思って、私を愛そうとしてくれて。かっこいいに決まっているじゃないですか」
「そう、かな」
「そうです。…その、かわいいなって思うときもあります、笑っている時とか」
「や、やっぱりあるんだ…」
「でも!」
私は彼にキスをする。
恥ずかしさなんて、どこにもなかった。
ただ、私の『好き』が伝わって欲しい一心だった。
「それは太宰さんが好きだからで、あなたが魅力的だからです…!心の底からいつもかっこいいと思っているのは本当ですから!」
言い切ると、彼は涙を流しながらも笑っていた。
その笑顔は驚くほど爽やかで、清々したものだった。
「ははっ、困っちゃうなぁ本当。…俺にも誰かを愛して、愛される資格があるって思っちゃうじゃん…」
カーテンから覗く輝かしい月が赤で覆われる。
「俺を好きになってくれて、愛してくれてありがとう。俺も、花奈のことがー