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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第1章 Bah……


柔らかな……ふわふわのマフィンみたいな感触……。
「シャルル」
重い瞼を開けば目の前に心配そうに俺を見るマスター。ええと、これ、何だっけ?
あ、そうそう、膝枕。
柔らかいのはマスターの膝の感触らしい。
「マスター、もうシャルルは起きたから立ち上がるんだ」――俺のマスターが床で貴銃士を膝枕なんてみっともない!
ベスくんの忌々しげな声がして突如として俺の後頭部が床とキスする。痛い。
「全く、人の形を得てすぐとはいえマスターに負けるなんて……」
ふん、と鼻息をつくベスくんに更に頭が痛くなる。
「大丈夫?」
マスターが手を貸してくれる。遠慮なく借りた。情けないけど色んな意味で頭が痛いのだ。
「これ……」
体を起こした俺にマスターがブリオッシュの皿を差し出してくる。
「わぁい、ありがとう」
一瞬喜んだけど俺マスターに勝ってないのにこれを食べる資格があるんだろうか?
食べたい……でも……。
「食べて。元気になったら出てきて」
俺に皿を渡したは踵を返し部屋を出ていってしまう。
「マスターはああ言ったが午後の訓練には1秒たりとも遅刻するな!」
ベスくんが渋面で言う。
「分かってる」
答えればベスくんは肩をいからせてやはり部屋を出ていく。
変なマスターに変なベスくん。
テーブルに付きバターたっぷりふわふわブリオッシュを食べながら何だか腑に落ちなかった。
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