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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第1章 Bah……


又別の日。
「マスター分かってるぅ!」
俺の言葉にマスターはため息をついて目の前のブリオッシュを後ろ手に隠す。
――え?何で?
「食べたい?」
勿論!物資が貴重だからお菓子なんか毎日食べられない。そもそもここにはパティシエがいない!
街に出れば良いけど俺達はレジスタンスで俺は貴銃士だ。そう、うそうそ出歩けない。
だから偶に作られるお菓子は貴重なんだ。
そしてそれはその価値が分かる俺が食べるべきだよ!
うんうん、と頷くとマスター――は目をすがめた。
「じゃあ、私に勝ったらあげる」
コトンとテーブルにブリオッシュを置き腰を落とすマスター。
手でちょいちょい招いてくる。
俺だって軽量化され細身になったとはいえ男だ。こんな小さな女の子に負けるわけがない。
「怪我しても知らないよ?マスター」
素早く踏み込み彼女の服をつかも……として手首を掴み返され突き出した勢いのまま後ろへ放られる。
「うわあぁ~」
みっともない事に前のめりに倒れる――。
痛い。冷たい。
「ご、めん……大丈夫?」
マスターがしげしげ俺を見ながら手を差し出してくる。うぅ、屈辱……。
「シャルルはまだ、体に慣れてないんだね」
うーんと首をひねって。
「もう一回!」
いくら何でもこんな女の子に負けっぱなしは悔しい!
体を起こし構えると、マスターももう一回構える。今度こそ、と踏み込み服を掴み投げようとするが、彼女は俺の体に足を絡め踏ん張ったからもんどりうって倒れた。
床に二人で転げるがマウントを取ろうとしてくるマスター。それを引き寄せようとするが足で突っ張ってくる。そのまま足を首に巻きつけてきた。
息が……うぐっ。
そこで意識は途切れた。
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