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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第5章 On ne vit que deux fois.


このままじゃだめだ。
でも、どうしたらいい?
勝てない戦なんかしたくないし、勝てない相手に立ち向かうのなんか無駄でしょ?
栄枯盛衰。永遠に栄える国はないし、永遠に君臨できる王もいない。
みんな争い殺し合い、潰し合う。
俺達はそんな激動の時代を見てきたんだ。
「ベスくん、逃げようって。戦うのは誰かと合流出来てからにしよう」
俺の言葉にベスくんは髪を掻き乱す。
「マスターに奴等の手が伸びる前に事を収集しないといけないんだぞ?」
「だからだよ。多分、近くに別隊が来るさ。多勢に無勢じゃ無理だって」
「お前の話にも一理あるが!……だが、承服できない。負けて散るとて最後まで主君の為に銃を下ろさないのが騎士だ」
ベスくんはかたくなだ。
「分かった。俺が行く。俺の方が細身だし素早い。君は隠れたまま射撃して」
「待て。お前は絶対高貴が使えないだろう。俺なら絶対高貴を纏えば流れ弾位じゃ折れない。だから俺が行く」
ベスくんの言葉にキリキリ、コメカミが痛い。
歯を食いしばっているからだ。
『絶対高貴』――?
どうして?
ベスくんと俺に何の違いがあるって言うのさ!
俺だってマスターを守りたい。
戦いたくないワケじゃない!
敵に命乞いしたりしないし、勝つ見込みがあるなら必死にもなるさ。
でもベスくんみたいに命を賭けて、ナンテ言えない。だって俺は折れたくない。
又得たこの命を主人の為に使いたい。
それが高貴じゃないの?
マスターと生きたい。命を賭して戦いたくない。
それが高貴じゃないなら俺は『絶対高貴』なんか使えなくていい!
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