• テキストサイズ

【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第5章 On ne vit que deux fois.


ベスくんに言われ、無意識に唇を噛む。
その痛みで自分が唇を噛んでいることを自認して、眉が寄る。
――絶対高貴。
貴銃士だけが使える超自然的な力。
古銃の俺達でも現代銃に対抗し得る不思議な能力。
それをベスくんは使えた。
『どうやって絶対高貴に目覚めたか?そんなん、戦場に立てば自然と……』
俺は、……自然と、出来なかったんだよね。
今俺達のいるレジスタンスにいる貴銃士でも、何人かは絶対高貴を使えない奴もいた。
シャスポー、ニコラ、ノエル、スフィーも。
逆にナポレオンさんやアリ.パシャ、ベスくんなんかは使える。
格の違いを見せつけられている気がした。
――戦いについての在り方を、責められている気がした。
あ、後、タバティエールも使える側だ。
『 最初から使えたの?』と、聞いた事がある。
そしたらタバティエールははにかむ様な照れ笑いをして言ったんだ。
『のおかげかな』
ってさ。
直接、マスターがその場にいて何かしたワケじゃないみたい。
でも、……『俺があそこで、二の足踏まずに飛び出せたのは、マスターちゃんがいつも変わらず接してくれたからだ』……なんだって。
マスターとの関係まで……負けた気がした。
いや、勝ち負けなんかないものだけど。
でも……でもさ。
負けた気がした。
/ 55ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp