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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第4章 イブの時間


「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
言いながら、声に元気がないのが分かる。
マスターの視線を感じながら引き摺られるのに近い感じで宿舎へ向かう。
暗い廊下を歩いて行き、俺とスフィーの部屋へ。
「メルシー、マスター。ここで良いよ」
戸の前で言えば、マスターは首を振る。
「だめです。私はメディックですから」
言ってマスターは戸を開き中へ俺を運ぶ。
うう、どうにか追い出したいけどスフィーを起こしたくないから騒げない。
空いているベッドに俺を乗せ――そのまま一緒に倒れ込むマスター。
ばふっとシーツの中にマスターが無防備に転がっている。
「ま、マスター、もう大丈夫だから。寝るだけだから、出てって?」
出来るなら自分でマスターを助け起こしたいけどちょっと今は出来そうもない。
お酒の酔いでドキドキしているのもあるけど、マスターがこんな近くにいると何かもじゃもじゃする。
「やです」
やです……って。
ちょっと期待しちゃうんだ、ケド。
期待って変な気持ちじゃなくってね!
俺をさ、……その……好き、……とかさ。
「シャルル、一緒に寝ましょう」
具合が悪くなったら起こして下さいね、とマスターは俺を抱き寄せてきた。
そんなにおっきくないけど柔らかな胸に抱かれていると……何か昔、前に銃として生きていた時みたいで何か安心する。
マスターの、の胸の音が聞こえると酔いで痛かった頭がやわらいでいく気がした。
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