【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.
第4章 イブの時間
「タバティエール、シャルル、どうしたの?」
かさっと草を踏む音がして――マスターの声がする。
「マスターちゃん、貴女こそこんな遅い時間に何してるの?たぁたんに云ってご覧?」
タバティエール、ナイス。
そのままボケて誤魔化して。
酔い潰れた顔なんか見られたくない。
タバティエールの肩に顔を埋めながら思う。
「それ忘れないと又営倉!」
ぼすん、とマスターがタバティエールを叩いた。
「もー、そんな可愛い顔で言っても忘れないからね、モンシュシュ」
可愛い顔?!
ちょ、俺も見たい!
顔を前に向ければマスターがこっちを見ていて、思い切り目が合う。
「シャルル!顔が真っ赤……どうしたの?」
ガシッと腕を掴まれる。
うう、不覚……。
マスターはタバティエールにキッと鋭い視線を向けた。
「タバティエール!貴方まさかシャルルに……」
「誤解。誤解です」
タバティエールが困った様な声で言う。
そうだよ……俺が全面的に悪いんだけど……。
「シャルル、大丈夫?治療いる?」
おっぱい揉む?みたいな事言わないで。
「あ、じゃあマスターちゃん、連れて帰ってあげたら?」
タバティエールは事を放棄していくつもりらしい。肩に掛かった腕を回してマスターに預ける。
止めたいが体が怠くて言う事をきかない。
「大丈夫?早く帰ろう……」
自分より小さいマスターに肩を貸されてちょっと歩き辛い。
情けない……。