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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第4章 イブの時間


「後、マスターの出自だが」
ベスくんの話にドキッと胸が波打つ。
ハッキリと、胸の中にある血を通わせた臓器がどくりと動くのを感じた。
「マスターには血縁者はいない。孤児だ」
だって……じゃあ『たぁたん』さんは?
「遠征した先の街でボロ雑巾みたいな格好で倒れているのをレジスタンスのメンバーが見つけて連れ帰ったそうだ。街中で彼女について聞いても誰も素性を知らなかったらしい」
ベスくんの言葉にキュウ、と胸が痛む。
「彼女自身も過去どこで何をしていたのか覚えていないらしい」
「記憶……喪失」
「医者に見せたらしいが、ストレスによるものだから、思い出さない方が幸せだろうと匙を投げれたらしいな」
マスター……。
胸が痛いしもじゃもじゃする……。
「たぁたんさんは?」
「レジスタンスで彼女の世話を見ていた人だ。基地内で話す時、マスターは彼を名前で呼んでいたが二人きりになると『たぁたん』と」
――二人きりの時のと彼は親子というより…………。
ベスくんは言葉を濁す。
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