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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第4章 イブの時間


さて、食事を終えた俺達は連れ立って基地の裏手にある湖へ。
湖畔に腰掛ける。
開けたそこに月光が射して案外明るい。
「で、何だ」
ベスくんがしゅっと石を投げながら云う。
石は二回跳ねて水面にとぷんと沈む。
「マスターの事が知りたいんだ」
云えばベスくんは立てた膝に頭を乗せる。
「俺も余り詳しくはないぞ。タバティエールが詳しい」
「聞いてみる」
「マスターの話か。まず『たぁたん』の事だ」
ほ?それはタバティエールの事じゃないの?
「『たぁたん』はマスターの、たった一人の家族だった人だ」
だった?…………つまり。
「その人はレジスタンスの活動中に命を落とした」
………………………………。
「何で知ってるの?」
「マスターはその人の写真をいつも持ち歩いている。それが落ちたのを拾った事がある」
「見たの」
ベスくんは頷く。
「タバティエールに背格好が似ていて、マスターと同じ冷たい目をした人だった」
…………つまり、タバティエールを『たぁたん』て呼んだのは、年上の人に『お母さん』て呼んでしまうみたいなやつなんだ、ね。
タバティエールが言ってた。
食事しに来た人に『おかあさん、おかわり』ってよく言われる、って。
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