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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第3章 笑わないマスターがちょっとだけ笑う話


マスターの甘い声で、『シャル、ルル』なんて呼ばれたら幸せで暴発しちゃう/////
天板からお皿にスコーンを移してテーブルの真ん中に置く。
「おいシャルル、さっきの変なのはどうした?」
ベスくんは黙れよ!
変なのじゃないし。ハート型だし!
一個だけ、ちゃんとレースペーパーを敷いたお皿に乗せてマスターの前に置く。
「ボナペティ♡」
俺の顔とちょっといびつなハート型のスコーンを見比べるマスター。
既に手元にはクロテッドクリームと俺の作った木苺ジャム。更にツウに蜂蜜も用意している。
こんなにお菓子が好きなのに俺にブリオッシュをくれたのは何でなんだろう。
理由はどうあれすごく嬉しいけど。
「これ、私のですか?」
「うん。マスターだけのだよ」
俺が言うとは『わぁ』と声を上げ、
それで、――それでね、ふわって笑ったんだ。
薔薇がふんわり開くみたいに。ベイビーズブレスみたいなちっさなえくぼを作ってさ。
ほっぺをスイトピィ色のピンクに染めて。
マスターはスコーンを手で掴む。
そっちを見たから可愛い笑顔が見えなくなった。ちょっとその顎を掴んで笑顔を見たかったけど、それはだめだよね。
仕方なく隣に座る。マスターは丸い曲線を指でなぞっている。
こっちを見てくれないかな?
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