【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.
第3章 笑わないマスターがちょっとだけ笑う話
笑う顔が見たい……。
俺を見て?マスター。笑って、……俺を見てよ。
『シャル』って呼んでよ。
俺を……俺を。
俺……だ……を。
マスターが顔を上げる。
もう笑っていなくて、いつもの無表情だったけど。
「ありがとうございます…………」
マスターが唇をむぐむぐさせている。
…………?
「メルシィ……ロッタ」
ず、ず、ず……………………_(┐「ε:)_ズコー
ロッタ……ロッタって……違うしシャルロットじゃないし。
赤い自転車に乗らないし……。
でも……まあ、良いか。
「どう、いたしまして」
って返すんだよね。
「じゃ、食べましょう」
マスターが手を合わせる。
ガヤガヤとしながらも一応マスターが食べるのを待っていた一団がぴたっと口を噤む。
「みんなも手を合わせて!」
マスターに言われて、みんな見様見真似で手を合わせる。
「はい、じゃあいただきます!」
マスターが言い、みんな『ジェ イタダキマス』と何か変な片言になりながら復唱した。
「じゃあ、はいらない……まあいい。いただきます」
マスターはちょっと躊躇いながらスコーンを割って欠片にクロテッドクリームとジャムをのせて口に運ぶ。
それを確認して、みんなお祈りをしたりお茶にジャムやらブランデーを入れたりしている。
「美味しい」
頬を膨らませてスコーンを食べるマスターはいつもの鉄面被だったけど、でも……何か可愛い。
作って良かった。次は『シャル(ルル)』って呼ばせちゃうからね!
「又作るのか?俺にも寄越せ」
ベスくんはもう出禁です!