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【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.

第3章 笑わないマスターがちょっとだけ笑う話


「モン シュゥーシュゥー」
配膳台の向こうからタバティエールの腕が伸びてきてマスターを抱き上げる。
ちっさな女の子にする様に横抱きにして頬擦りした。
「キャベツちゃんやめて」
マスターは流石に無表情とはいかず眉を寄せている。
「『たぁたん』て又呼んでくれたら下ろしてあげる」
タバティエールの言葉にマスターはピタっと固まる。
「ねー、シューシュー、プチラパン、モン シャほらたぁたんて呼んでくれたら下ろしてあげるよ!」
横抱きにしたマスターを揺すり頬擦りするタバティエール。
「いっ!たぃっ!たぁたんおひげいたい!助けてベス!おひげいたい!」
マスターの帰りを待っていたベスくんはその声に素早くやってきてバヨネット付き本体をタバティエールに突き付ける。
「マスターを離さないと貴様もこのブラウンベスの鉄錆にしてやる」
ベスに銃剣を突きつけられ仕方なく、といった感じでタバティエールがマスターを床に下ろす。
途端ベスくんの後ろに隠れるマスター。
ふふん、とドヤ顔をするベスくん。
そして怯えながらもスープ用の鉢を差し出すマスター。
「マスターちゃん、、又『たぁたん』て呼んでくれよな?」
マスターの鉢を受け取りスープを注ぎながらタバティエール。
「もう二度と呼びません!ちょっと間違っただけです!」
「ジェ  ポンス ァ トア♡」
無表情に戻りスープを受け取るマスターにキッスを投げるタバティエール。マスターはそれを避ける仕草をしてベスくんに顔を見てもらいながら席に戻って行く。
辺りを見渡す。結構無視されてるのでは?と思ったが予想外にみんなタバティエールを見ている。
シャスポーなんか睨んで人が殺せるならタバティエールは今頃四散していそうな顔をしていた。
『たぁたん』だって。
何だろう。又胸がもじゃもじゃする。

※シュシュ→キャベツ。私の可愛い赤ちゃん的な意味。
プチラパン→子ウサギ。
モン シャ→私の猫ちゃん。
ジェ ポンス ア トア→貴女の事を想っています。
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