【千銃士】笑わないマスターとfleur-de-lis.
第2章 罪と罰の澱の中で
「ベス!ベス!来て!」
マスターが大声で叫ぶ。
「どうしたマスター!」
普段は大声なぞ出さないマスターの声にベスが駆けてくる。
「シャルルを営倉に入れて!」
真っ赤に頬を染めたまま叫ぶ主にベスくんは俺を見る。
でも俺だって意味分からないよ。
何で営倉?営倉って悪い事した人を入れる懲罰房だよ?何で?
「マスター……」
「庇うならベスも営倉に入りなさい!」
ピシャリとベスくんの言葉を撥ね付けるマスター。
そんなマスターに頷くベスくん。
「分かった。マスター、こいつ(シャルル)は責任を持って営倉に入れてくる」
「お願い」
真っ赤な頬を恥じるように俯いてマスターは走り去る。
その背を見送りベスくんは反対方向へ俺を引きずっていく。