第5章 直々特訓。
「出久。」
「え、えぇ、ぇ、嘘!?僕も!?」
帰りいつも通りに一緒なので名前を呼んでみたら、びっくりされて夕日に照らされていても分かるほどに頬を染めた出久。何かおかしいことをしたのだろうか?
ごほんっと咳ばらしをして、違う方向を向いていたが改めて私の方を見た。
「気遣いどうもありがとう……。呼びづらかったらいつでも変えていいからね。」
「"さん"付きよりは、数も減りましたし呼びづらくはないですよ。」
「というか、同級生に呼び捨てされるの久しぶりだ……。」
ずっとなんて呼ばれていたのだろうか?「あまり呼ぶ人は少ないんですか?」というと出久は横に目線をして私と目を合わせてくれない。
「……昔、幼馴染みにだった。」
「爆豪さんですか?」
「うん、昔は"出久"て呼ばれていたけれど今は"デク"って呼ばれているな。」
軽く笑った出久に「そうですか。」と一声かけた。
出久よりも"デク"の方が呼びやすいけれど、何故"デク"となったのかは分からない。やっぱり、爆豪さんも不思議な人かもしれない。
「それはそうと、出久。聞きたいことがあります。」
「な、何?どうしたの?」
「お茶子が言っていた、"きゅんきゅんする"とはどういう意味ですか?」
「へ、へぇ!?」
びっくりしては声を上げて、私の方を見た。
さっき顔の色は直ったのに、また真っ赤になる。しかもさっきよりも真っ赤になっている気がした。
「言っていいのか、これは……しかし」
「出久。」
「わ、わ、きっと麗日さんの意味は"可愛い"ってことだと思うよ……。」
可愛い。小さい頃に言われたことのあるけれどそれ以外は言われたことはない。可愛いと思うと、きゅんとなるのか。きっと何かしら体に変化が起こるだろう。
「そうなんですね、教えてくれてありがとうございます。」
「どど、どういたしまして……。」
何故かまだ言葉を噛み続けている出久。可愛い。それは褒め言葉と受け取っても良いのか。私の場合は、成功すると"可愛い"なんてよく言われたものだけれど何も感じなかった。世の中には、いろんな受け取り方がある。でも、今回のは信じても良いのかな。